バチカン奇跡調査官
アニメがテンポ良かったりしたので原作をまとめ購入。
カソリックの教会などで顕現する奇跡。
大体は、
マリア像から涙が流れる
処女懐胎しました!
本来あり得ないような場所にキリスト像。十字架が出現した‼︎
※超巨大サイズなど
教会の神父 シスターなどにスティグマが現れた
※だいたい、キリスト磔刑を連想させる手のひらからの出血。
そんなのが数限りなくバチカンに 奇跡だ! これは神の御心の兆しでは?と申請されてくるのです。その、奇跡と主張する現象の真偽を調査するお仕事をする調査官でもある二人の神父の話。
本家? バチカンが 奇跡認定すると聖堂建てて、さらに観光スポット化して布教もすすむのと寄付があったりなどのメリットあるせいなのか、申請してくる側も必死というか、別の目的と表裏一体である辺りも描いています。もちろん奇跡ではない奇跡申請多数、捏造では?もありながら泥臭くなりすぎず俗っぽくて良いです。
世界遺産に登録とかあんな感じで奇跡認定が捉えられており、教会のある一体は
観光スポットと化して、かつ教会は潤い人がいつもいる感じで活動しやすくなり布教にもプラスとメリットだらけのバラ色未来予想図。
それもあってか、多数の奇跡が申請されてくるのですが。
その肝心の 奇跡、二人とも 殺されかけるような目にあいながらも調べてみると、たいていは奇跡認定に至らず。
かといっていつも自作自演とかでもないのですが。しっかり科学的に分析調査してみると残念ながらといったもので、敬虔な聖徒である平賀神父の『本当の奇跡をいつか見てみたい』というセリフでしめくくられます。ロベルト神父はむしろリアリストで暗号解析が得意な設定なのか とりあえず平賀神父に倣うという程度。
原作はかなり前から刊行されていましたが、アニメ化のタイミングでかなり版がかかった模様。
シリーズ一巻は最新版が17刷
アニメの初期の4話連続の 黒の学院の原作だからというのもあるのでしょうか。
この一巻のネタが、
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ヒトラーの再生
元ナチスの神父
聖人の死になぞらえた連続殺人
学院の生徒に現れるスティグマ現象
悪魔崇拝の儀式
と盛りだくさんでした。
最後は聖水ならぬ硫酸攻撃でサイコパスを撃退するのですが。大抵は読んでいると思うのでギリギリのネタバレ。
キリスト教的な解決ではなく現実のサイコパスへの対策として あらかじめ用意してきたというのですから、これまでの奇跡申請の酷さが想像できます。聖水では対抗しきれないリアルへの手段。
しかも平賀神父にもたせるとは。
アニメ最終回の奇跡は調査官の相棒、ロベルトニコラス神父の過去、平賀ヨセフ庚 神父の弟の危篤の話がクロスしてバチカンが認定するような 奇跡そのものの話ではなかったのですが。
奇跡的に難病で実質余命宣告されてる状態の弟は助かるので、良かった話。助けてくれる人が二人の神父の因縁の悪役ナンバーシックスだったのですが。
氷狼でのラストのように、二人に関わって 要はからみたかったのかも。
ガルドウネやローレン失踪後の話、シン博士の過去の話と関係ある氷狼はなかなかおもしろかったです。
原作小説では、単に休暇に出ても奇跡か?みたいな状況が勝手に追いかけてくるので 奇跡認定するべきなのか? 必要な機材を調達して調査を始めてしまうワーカホリックな二人の神父。
調査中に本人たち以外の殺人事件などにもやたら巻き込まれます。
アニメはシナリオがかなり整理されていたので分かりやすく。ばっさりやられたので、かえってコンパクトに理解しやすくて良かったり。
謎解きエピソードは駆け足っぽい演出なのですが原作盛り込みすぎですから。
いえ、おもしろかったからまとめ購入してますが。
なんとなく二人のやり取りや空気感が気になったり、他の登場人物たちの背景みたいなのが知りたくなったら補足で原作読んでおくのもいい感じです。
コンパクトにまとまっている
天使と悪魔のゲーム
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は、これまたバチカンでも神の奇跡でもないのですが、悪魔に翻弄されて天使に出会った奇跡的な人生を描いていて秀逸です。
天使と悪魔のゲームの呼び名は平賀神父考案の囲碁をベースにした数学的思考が必要なゲームですが。そのままストーリーの説明的なタイトルに採用されています。悪魔のゲームを知りながら誘惑に負けなかった天使の話ともとらえることも。
ゲームを描いたもので近作? でおもしろかったのは
冲方丁のマルドゥックスクランブル。カジノのシーンみたいにゲームそのもののやり取りしている、奇跡認定全く関係ない余談の話とかあっても楽しかったかも。
ギャンブル場での話ですが、書きようによってカジノものはとてつもなくスタイリッシュに感じられます。カイジはちょっとすみません。
パンティ&ストッキングみたいなシチュエーションにしながら、おバカ展開もありですが。
アニメ化されると話題本コーナーに置かれて目につきやすくより売れるようで。反面、放映終了となると一気に片付けられるので冒頭立ち読みしておもしろそうなのを定期的にまとめ買いしています。
黄金編の悪魔的な美貌のジュリア司祭はアニメでは中盤で おいしい感じで登場。
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彼は楽園の十字架の後日談エピローグやガルドウネの影がチラつく事件で登場するのですが。
二人の神父を気に入っているようなのではっきり対立することは無さそうと思っていたら氷狼では…。
第二期あるかないかは知りませんが、対立軸になるんだろうか。アニメ化の際のメインビジュアルのセンターに配置したのが良く分からないぐらい登場しなかったので。
カソリック以前に宗教にこだわりなく、なんでも受け入れる島国で、自分が無宗教のため信仰心とか言われると鼻白むのですが。
職業としての信仰心を保っているみたいな部分がときおりチラッと出てくるのも葛藤があっておもしろい。
科学的に解明する役割の平賀神父がわりとピュアピュアに信仰心あるのに、美男子ながら実はくよくよした男のロベルト神父は職業上の信仰心でドライなところがあるという設定も随所に出てきて興味深いです。
申請された奇跡とともにその辺りに蠢く人間関係や犯罪も洗うミステリー。バチカンの司祭が謎解きするのが新しくはあります。
大昔には、薔薇の名前という修道院の話もありましたが。ショーンコネリーで実写化、超大作の触れ込みで日本でも公開したハズ。
それはともかく。
聖槍も聖杯も偶像といった古い呪いの道具としつつ、キリスト教的なアイテムが鏤められて登場します。偶像崇拝やアイテムの複製品、アートの廉価版マルチプルみたいなものを所有することについてもちょっとだけ考えせられます。
ミステリーにキリスト教的なテーマをからめてという趣旨では おもしろかった一群です。